5.8 ソースからビルドする場合

その他のシステムではソースからビルドしてください．ソースからのビルドには，以下の開発ツールとライブラリが事前にインストールされている必要があります．

1.

プログラム開発用のツール群GNU binutils（GNU Binary Utilities）．
2.

CおよびC++コンパイラ（gccまたはclang）
3.

make（GNU makeを推奨）
4.

MassiveThreadsおよびGMPライブラリ本体とヘッダーファイル
5.

LLVM 3.9.1以降のライブラリ，ヘッダーファイル，およびコマンド

これらのソフトウェアがインストール済みならば，SML#は標準的な3ステップ ./configure && make && make install でインストールすることができます．

これらのソフトウェアがOSのパッケージシステムによって提供されていない場合，これらもソースからビルドする必要があります．これらのコンパイルの詳細は，各ソフトウェアの公式ドキュメントなどを参照してください．

本文書の執筆時点でのMassiveThreadsおよびLLVM 11.1.0の大まかなインストール手順は以下の通りです．

MassiveThreads

MassiveThreadsのWebページ https://github.com/massivethreads/massivethreadsなどからMassiveThreads 1.00のソースコード massivethreads-1.00.tar.gzを入手，展開し，標準的な3ステップ ./configure && make && make install でインストールしてください．

LLVM 11.1.0

LLVMのWebページ http://llvm.org/ などからLLVMのソースコード llvm-11.1.0.src.tar.xzを入手，展開し，以下の5ステップでビルドします．

mkdir build
cd build
cmake -G "Unix Makefiles" \
     -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=/ $\mathit{where}$ / $\mathit{llvm}$ / $\mathit{is}$ \
     -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release \
     -DLLVM_BUILD_LLVM_DYLIB=On \
     -DLLVM_ENABLE_BINDINGS=Off
make
make install

上記例でcmakeに指定しているオプションは必須ではありませんが，指定することをおすすめします． -DCMAKE_INSTALL_PREFIXは他のLLVMのインストールと衝突を避けるために指定することをおすすめします． -DCMAKE_BUILD_TYPE=ReleaseはLLVM自体を最適化します． -DLLVM_BUILD_LLVM_DYLIB=Onオプションは共有ライブラリをビルドします． -DLLVM_ENABLE_BINDINGS=OffはSML#に不要なモジュールのビルドを防ぎます．

以上の環境の下で，以下の手順でSML#をソースからビルドします．

1.

ソースパッケージ（https://github.com/smlsharp/smlsharp/releases/download/v4.0.0/smlsharp-4.0.0.tar.gz）をダウンロードします．最新のソースパッケージは https://smlsharp.github.io/ja/downloads/からも取得できます．
2.

適当なSML#ソースディレクトリを決め，そこにソースパッケージを展開します．ただし，絶対パスに日本語が含まれるディレクトリは避けてください． SML#をビルドできません．
3.

適当なSML#のインストール先ディレクトリを決めます．以下，そのディレクトリを $\mathit{prefix}$ とします．
4.

SML#ソースディレクトリにてconfigureスクリプトを実行します．このとき，--prefixオプションに $\mathit{prefix}$ を， --with-llvmにLLVMをインストールしたディレクトリを指定します．

$ ./configure --prefix= $\mathit{prefix}$ --with-llvm=/ $\mathit{where}$ / $\mathit{llvm}$ / $\mathit{is}$

--prefixオプションを省略した場合は /usr/localにインストールされます． --with-llvmオプションを省略した場合は，LLVMのライブラリとコマンドを標準的な場所（/usr/binなど）から探します．
5.

makeコマンドを実行しビルドを行います．

$ make

なお，ビルド終了後，以下のコマンドでSML#コンパイラをインストールする前に起動することができます．

$ src/compiler/smlsharp -Bsrc
6.

（オプション）以下のコマンドで，ビルドしたSML#コンパイラで SML#コンパイラをビルドし直すことができます．

$ make stage
$ make
7.

make installコマンドでインストールします．

$ make install

システム管理の都合上，インストールされるファイルを $\mathit{prefix}$ とは異なるディレクトリ $\mathit{prefix}^{\prime}$ に出力させたい場合は， make installコマンドにDESTDIR= $\mathit{prefix}^{\prime}$ オプションを指定してください．

以上により，以下のファイルがインストールされます．

1.

smlsharpコマンド： $\mathit{prefix}$ /bin/smlsharp
2.

smlformatコマンド： $\mathit{prefix}$ /bin/smlformat
3.

smllexコマンド： $\mathit{prefix}$ /bin/smllex
4.

smlyaccコマンド： $\mathit{prefix}$ /bin/smlyacc
5.

ライブラリファイル： $\mathit{prefix}$ /lib/smlsharp/ディレクトリ以下のファイル

以下のコマンドでSML#コンパイラが起動できるはずです．

$ $\mathit{prefix}$ /bin/smlsharp

補足とヒント：

•

マルチコアCPUをお使いの方は，GNU makeならばmakeコマンドを実行するとき-j $\,\langle$ n $\rangle\,$ スイッチを指定すると，並列にコンパイルされ，実行時間が短縮される場合があります． $\,\langle$ n $\rangle\,$ は並列度です．コアの数程度に指定すると良い結果が得られると思います．